フットボールキッチン

あーだ、こーだと言われながらも徒然に。

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素直なキモチ。 (BPL Arsenal vs Chelsea Report)


男というのはやはり、素直になれない生き物なのかもしれない。

よくある話に「好きな女の子にいじわるしてしまう男の子」というのがある。これは男の子が、好きな女の子から興味を引こうとして、あえて意地悪をしてしまうという心理を説明する為によく使われる。

男女による恋愛観の違いを理解しようと、度々引き合いに出されるこの例え。小学生くらいの男の子が、例え話の主語で語られることが少なくない。だが、ひょっとするとこの週末にフットボールファンが見たのは、素直になれない大の大人たちの微笑ましいやりとりだ。

舌戦に始まり、複雑な思いが錯綜した中で行われた、アーセナル対チェルシー。大一番の余韻が未だに残るうちに、今回は人々の気持ちが移ろい行く様子を追ってみよう。


始まりは、ヴェンゲル監督の一言からだったように思う。

「守ることは簡単だ。必要とあれば、我々も守備をするだろう」と彼は言った。試合を控えた23日に、記者たちを前にしてアーセナルの監督は、チーム戦術の幅が広がってきたことを話している。

対してモウリーニョは「(守備は)簡単じゃない。もしそうだったとしたら、ホームでモナコ相手に1-3で負けないだろう」と、コメント。

ふたりの歴史を紐解いてみても、数々の舌戦を繰り広げてきた両監督。今回もまた、「口撃」でビッグロンドンダービーは幕を開けた。

監督だけではなく、アーセナルとチェルシーのファンもまた、お互い突つき合う。Arsenal Fan TVに出演したクロード氏は、アーセナルで育ち、バルセロナを経てライバルクラブに加入したセスクの帰還を歓迎する気はない。未だにスタジアムへと架かるケン・フレアー橋に掲げられているセスクの旗を「さっさと下ろされるべきだ」と非難する。

クロード氏は、同じくチェルシーサポーター代表として出演したトニー氏に「できることならついでに、(セスクの旗を)スタンフォードブリッジに持って返ってくれ」と頼んでいる。

チェルシーに加入することはないと誓って、バルセロナへと移籍したセスク。クロード氏の気持ちは、勘当した息子を我が家に迎え入れる父親に近いものがあるのかもしれない。

セスク。けんふれあー
(※注:写真は筆者が2年前に撮影したもの。)


そんな中行われた試合は、攻守に引き締まった好ゲームとなる。攻めるアーセナルと、守るチェルシー。両チームの特徴が、十二分に発揮された。試合はアウェイのチェルシーが、アーセナル攻撃陣を押さえ込み0-0で終了。

やはりブーイングはあった。前半は特に、セスクがボールを持つたびにそれが響く。ただその勢いも、試合終了に向けて徐々に窄んでいった。そして興味深いことに、90分にズマと交代してピッチを退くとき、多くのアーセナルファンが拍手で彼を見送った。

ピッチを後にするセスクに、中指を立てるファン。その隣でどこか寂しげに、だが喜びを表に出さないようにと、ただただ拍手を送る者もいたように見えた。

ライバルチームの一員となって帰ってきた、かつてのエース。バルサに移籍した際の彼の言葉を思い出せば、アーセナルファンの怒りも十分に理解できる。だが、セスクのプレーのひとつひとつから、彼が未だにアーセナルを好きであることは伝わったのだと思う。

エリア内でのシミュレーションを取られたシーン以外は、淡々と、紳士にプレーし続けた。際どいファールなどすることも、もちろんない。

試合後にセスクは、「ピッチを去るときに、アーセナルファンの愛情を感じたんだ、僕にとって感慨深いものさ。僕がチームを離れた理由をよく思ってない人たちもいるだろうけど、僕はずっと感謝の気持ちを持ち続けるよ」と、素直な気持ちを述べている。

テリーを中心とした、素晴らしい守備で無失点に終えたチェルシー。試合中にはアーセナルファンから、"Boring, boring Chelsea!"(つまんねぇなぁ、チェルシー!)というチャントを受けた。だが、彼らの現実的な戦い方は、随分長いことリーグ王者から遠ざかっているファンの心境にも、変化をもたらしているようだ。

クロード氏は「これが勝てるフットボールだ」とチェルシーのスタイルを認めた。守備的なスタイルを好まないのが、この名物ファンのフットボール観なだけに、意外とも言える一言だった。

モウリーニョがこの一言を聞いたら、きっと笑みを浮かべるかもしれない。チェルシーの守備について彼は「うちはどうやって守備をするか、というレッスンをしたんだよ」と、ベテランのテリーを褒めながら答えた。子供たちや、指導者の方達に、今日のチェルシーのパフォーマンスは参考にもなるだろうとのことだ。

一方でヴェンゲルはあくまでも、最後のところで崩せなかったことが引き分けの原因と分析した。それでもインタビュー終盤では本音がポロッと出た。

「チェルシーが上手く守ったよ」。早口に、低い声でフランス人の名将は相手チームを称賛した。

首位を走るチェルシーは、アーセナルが喉から手が出るほど欲しいタイトルをほぼ手中に収めている。それに加え、安定した守備陣と、マティッチという強力な守備的MF。これらは全て、アーセナルファンの方々が長年補強を望んできたポジションでもある。

チェルシーファンの方々からしても、アーセナルの流れるようなパスワークを羨む方がいらっしゃるかもしれない。昨シーズン、ノリッチ相手に決めたゴールなどは圧巻だった。アーセナルの中盤には、見ていてワクワクするメンバーが揃っている。

同じ街にあるビッククラブ。ライバル同士だからこそ、お互いの長所を知り尽くしているのだろう。それだけに、どうしても意識してしまって、下手に褒めたくない。

少なくとも、ヴェンゲルとモウリーニョが指揮官としてぶつかり続ける限り、この意地の張り合いは続くのだろう。相手に惜しみない賛辞をあげるのは、最後の最後だけで十分だ。

素直になった2人が会話する様子を、ちょっと見てみたいとも思ったりはするが。

【了】

[コメント引用元]
BBC, Jose Mourinho: Chelsea boss reacts to Arsene Wenger dig. Available at http://www.bbc.co.uk/sport/0/football/32444996 (Accessed on 27 April)

BBC, Arsenal 0-0 Chelsea: Gunners lacked in attack - Arsene Wenger. Available at http://www.bbc.co.uk/sport/0/football/32474940 (Accessed on 27 April)

BBC, Arsenal 0-0 Chelsea: Jose Mourinho says team gave lesson in defence. Available at http://www.bbc.co.uk/sport/0/football/32475779 (Accessed on 27 April)

SkySports, Arsene Wenger says Arsenal's new balance will help them beat Chelsea. Available at http://www1.skysports.com/football/news/11670/9821175/arsene-wenger-says-arsenals-new-balance-will-help-them-beat-chelsea (Accessed on 25 April)

Youtube, Arsenal Fan TV (2015), Claude & Chelsea fan Tony argue about Fabregas | Super Fan Face Off Pt1 Available at https://www.youtube.com/watch?v=I6ShAuGor1s (Accessed on 24 April)

Youtube, Arsenal Fan TV (2015), I Would Take Playing Like Chelsea If We Won Trophies !!! | Arsenal 0 Chelsea 0. Available at https://www.youtube.com/watch?v=LTiDx0ia2es (Accessed on 27 April)
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Author:黒崎灯(あーせん)
英サンダーランド大学にてスポーツジャーナリズムを勉強中。サッカーを文章にすることで、読ませるものを書くようになりたい。到底才能もない凡人が、書き続けていったらどうなるんだろう。本当にほんの少しだけ、成長を期待してて下さい。

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